利用権設定による農地の貸し借りについて

農地の利用権設定とは

高齢やその他の事情により耕作を続けることができない農地所有者が、農地を借りて経営規模を拡大したい農業従事者や、新たに農業を行いたい方に農地を貸したいという話が良くあります。


農地を農地として貸借する場合、農地法第3条の規定による農業委員会の許可を受けなければなりません。しかしながら、農地法の許可を受けるには多くの書類を用意する必要があり、それらは貸し借りをしようとする農業従事者にとっては大きな負担となります。
また、農地を賃貸借する場合は、農地法の規定によりその期間は最長で50年と長いものであり、また、賃貸借契約は自動更新となるため、一度賃貸借契約をしてしまうと、貸した農地が戻ってこないのではないかという不安から貸し手が消極的になってしまう等、規模拡大を希望する農家にとっては不利に働いてしまうことがありました。
これらを解消すべく、農業経営基盤強化促進法に基づく、農地の「利用権設定」制度が設けられました。

利用権設定の特徴

農業経営基盤強化促進法による「利用権設定」は、通常の賃貸借契約とは異なり、貸し手と借り手とで決めた期間が到来すると賃貸借関係は自動的に終了し、貸し手は自動的に農地の返還を受けることができます。(契約満了前には、農業委員会から通知が送付されます。)
貸し手と借り手が合意すれば更新することで継続して貸借することもできます。
契約期間中に事情により利用権設定の解除を行いたい場合には、双方合意のもと解除申出書を提出することで、利用権設定の解除を行うことができます。
利用権設定の手続きも農地法第3条許可よりは簡易なものなっています。

利用権設定の貸し手のメリット

貸し手の最大のメリットは契約期間を定め、農地を貸すことができるという点です。
設定した契約期間が経過すれば農地の賃貸借(又は使用貸借)は自動的に終了し、農地が貸し手に返還されます。
その契約期間も3年や5年と通常の賃貸借契約を比べとても短いものになっており、安心して貸し出すことができます。
特に返還を希望せず、そのまま貸したいという場合は、契約を更新することも可能です。
また、通常の賃貸借契約であれば農地の返還を受ける際には、借り手側へ離作料を払わなければなりませんが、利用権設定であれば支払う必要がありません。
申請も比較的簡単ですので、申請が苦手という高齢農業従事者にとっては大きなメリットではないでしょうか?

利用権設定の借り手のメリット

借り手のメリットは、まず農地法第3条許可が不要なことです。
簡単な手続きで借り受けることができますので、農業規模の拡大を図りたい方、これから農業を始めたいという方にとって、拡大や参入のハードルが比較的低いというのが大きなメリットとなります。
契約期間は短いものの、貸し手が合意すれば契約を更新することができますので、借り手としても心配なく農業に従事することができます。

利用権設定にあたっての条件

利用権設定するにあたっては、設定を受ける人が農業経営目標をしっかり持った農業経営者であるほか、次のような条件などを満たしていることが必要です。

  • 設定する土地が市街化調整区域内の農用地であること。
  • 利用権の設定を受ける方、または世帯員が農作業に常時従事すること。
  • 利用権の設定を受ける人の住所地と設定する農地までの通作距離が適当であること。
  • 現在,借り入れしている農地について,すべて耕作していること。

など

利用権設定の借り手の要件

農地を借りる人は次の要件などを満たす必要があります。

  • 農用地の全てについて、耕作又は養畜の事業を行うこと。
  • 耕作又は養畜の事業に必要な農作業に常時従事すること。
  • 利用集積計画に規定する農用地を効率的に利用して、耕作又は養畜の事業を行うこと。

など

利用権設定の貸し手の要件

農地を貸す人は次の要件などを満たす必要があります。

  • 農業者年金の受給者でないこと。
  • 貸し出す農地に賃借権等が設定されていないこと。
  • また、贈与税の納税猶予の特例を受けていないこと。

など

利用権設定の申し出時期について

利用権設定の申し出時期は、各市町村でまちまちです。
年に数回の市町村や毎月受け付けてくれる市町村もあります。
対象となる農地がある市区町村で確認しましょう。

利用権設定の申請手続き方法について

利用権設定については、利用権設定申請書類を農業委員会へ提出します。

利用権設定の申請手続きに必要書類について

利用権設定の申請手続きには、

  • 利用権申請書
  • 相続登記が完了していない農地や、共有名義の農地の場合は、関係者の同意書
  • 新規就農者は、営農計画書

などが必要書類となります。

利用権設定の申請手続代行を依頼するなら、農地転用手続代行ワンストップサービスセンターにお任せください!

農地転用手続代行ワンストップサービスセンターでは、農地の利用権の手続きのサポートを行っております。
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