農地を宅地や駐車場、資材置き場なのに転用する場合には、都道府県知事の許可を受けなければなりません。
ただし、市街化区域にある農地は「事前」に届け出ることで、許可を受けなくても転用することができます。
市街化区域とは、市街化を推進している地域のことで、住宅街や商業施設などがある市街化された区域、または概ね10年以内に市街化を進める区域です。
つまり市街化区域であれば、住宅なども許可なく建築することができます。
よって、農地転用の手続きを簡略化し、事前に届け出れば許可を不要とし、転用が容易にできるようにしています。
目次
農地転用の届出の提出先はどこ?申請期間は?
農地転用の届出は農地法第4条と農地法第5条にかかる転用それぞれに可能ですが、いずれも対象農地がある市区町村の農業委員会に届け出ることになります。
郵送での申請は受け付けていませんので、窓口に出向き申請します。
農地法第4条の場合は農地の所有者(権利者)が、農地法第5条の場合は農地の所有者(権利者)と農地を転用する人が共同で申請します。代理人(=行政書士)による申請も可能です。
届出は申請日が特に定められていないので、いつでも申請することができます。
届出は1週間程度で書類内容に誤りがないかなどの審査がされ、問題がなければ「受理通知書」が交付されます。
(もし、届出が受理されない場合は「不受理通知」となります。不受理となる場合については下記:農地転用の届出が不受理となる場合は?をご参照ください。)
なお、自治体によっては週ごとに締切日を設けている場合もあります。そのような場合は1週間以上かかる場合もあります。
受理通知書は窓口で交付されますので、申請者が受け取りに行くことになりますが、委任状があれば、申請者以外でも受け取ることができます。(受け取りだけであれば行政書士でなくとも代理できます。)
農地法第4条と5条についてはこちらの記事で詳しく解説しています。よろしければご覧ください。
届出の必要書類は?
届出に必要となる一般的な書類は以下の通りです。
- 農地転用届出書
市町村の窓口で配布しています。
ホームページでダウンロードできる市町村も多数あります。
- 対象農地の登記事項証明書
対象農地の全部事項証明書です。法務局で入手できます。発行日から3か月以内の原本が必要です。
- 公図の写し
対象農地を赤枠で表示します。
- 位置図
対象農地がわかる住宅地図などです。対象農地を赤枠で示します。
- 委任状
代理人(=行政書士)による申請の場合は必要となります。
届出書と同じ印を押印します。
その他、場合によって下記の書類などが必要になります。
- 転用面積が500㎡以上で建築物を建てる場合は開発行為許可書の写し
- 区画整理地内にある場合は換地予定証明書
- 登記事項証明書に記載されている土地所有者の住所と現住所が異なる場合は住民票・戸籍の附票等住所異動のつながりが確認できるもの書面
- 登記簿上の所有者が死亡している場合は、亡くなった所有者の出生から死亡までが確認できる戸籍(除籍)謄本、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書、印鑑証明書、相続人関係図など
これらの書類に不備があると下記の通り届出が不受理となることがあります。
また、他部門の許可や証明が必要となる場合は、それらに関する資料の準備も必要となります。
農地転用の届出が不受理となる場合は?
届出が不受理となるのは届出の条件に合致しない場合と書類上の不備がある場合となります。具体的には以下の場合などです。
- 届け出にかかる農地などが市街化区域にない場合
- 届出者が届け出に係る農地などにつき何らの権限を有していない場合
- 届出書に添付すべき書類の添付がない場合
スムーズに転用の届出をしたい方は、専門家(=行政書士)へ依頼することをお勧めいたします。
届出をしなかった場合は?
農地法第4条、第5条の届出をせずに農地転用をして場合はどうなるのでしょうか?
市街化区域内の農地であっても許可なく無断で転用することはできません。届出はあくまでも事前に届け出た場合にのみ許可が不要となります。
したがって、無断で転用した場合は、許可を得ずに転用した場合と同様となり、工事の中止や原状回復等の命令がなされる場合があります。場合によっては、罰金や懲役刑に課されることもあります。
届出(許可)を受けずに農地の転用を行った場合
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(法人は1億円以下の罰金)
県知事の工事の中止、原状回復などの命令に従わなかった場合)
3年以下の懲役又は300万円以下の罰金 (法人は1億円以下の罰金)
地目変更を忘れずに!
農地転用の届出をしただけでは、登記簿の地目は変わりません。
地目を変更するには、住宅などの建設完了など転用完了後に法務局へ登記地目の変更登記申請をします。
地目変更登記申請の際には、届出受理通知書が必要となりますので、大切に保管しておきましょう。(届出受理通知書は再発行してもらえません。)
なお、地目変更登記はご自身ですることもできますが、忙しくて申請できないという方は専門家である土地家屋調査士へ依頼すれば申請を代理してもらえます。
地目変更についてはこちらの記事で詳しく解説しています。よろしければご覧ください。
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