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農地転用と分筆
農地転用をする際、対象の農地の全部を転用するのではなく、農地を分割して必要な部分だけを転用することがよくあります。
この土地の分割を「分筆」といいます。
今回は分筆が必要な場合や分筆の仕方について解説していきます。
分筆が必要なのはどんなとき?
分筆が必要となるのはどんな時でしょうか?
必要な部分だけ転用する場合
例えば資材置き場などに転用する場合に必要となる面積に比べ農地が大きい場合や農地の一部を農家レストランの敷地にして、残りの農地で農業を継続したい場合等、転用する人が必要とする部分だけを切り分けて転用するケースです。
法令制限に対応する場合
家を建築するために農地を転用する場合は、家を建てるために必要な面積までに転用する部分を抑える必要があります。
一般住宅・・・概ね500㎡以内かつ建ぺい率(*)22%以上
農家住宅・・・概ね1000㎡以内
基準以上の面積のある農地の場合、基準以下まで分筆してから転用する必要があります。
*建ぺい率とは
土地に対する建築面積の割合を建ぺい率と言います。
「建ぺい率=建築面積÷土地の面積」となります。
仮に300㎡の農地を転用し、建築面積70㎡の家を建てる場合は、70÷300=0.2333・・・で建ぺい率が23.33%となり、基準を満たすため農地全部を転用することが可能となります。(もちろん全部を転用する必要はありません。)
これに対し建築面積60㎡の場合は、60÷300=0.2で建ぺい率20%となり、22%を下回ってしまうため、基準を満たす面積まで土地を分筆しなければなりません。
分筆の方法は?
分筆は一般的には以下のような手順で進められます。
1.土地の事前調査
2.分筆案の作成
3.隣接人等との立会い
4.境界標を設置
5.分筆登記申請
1.事前調査
まず初めに、対象の土地について登記簿謄本や地積測量図、公図、道路査定図など収集し、その土地の状況を調べていきます。
登記簿謄本、地積測量図や公図は法務局で取得することができますし、オンラインでも請求可能となっています。
道路査定図は市町村役場の道路課などに備え付けられています。
なお、道路査定とは道路と民地の境を確定することですが、すべての土地が査定されているわけではありませんので、道路査定図がない場合も多々あります。
次に現地に赴き実際に境界標などがあるか確認するとともに、現状の測量を行います。
2.分筆案の作成
調査が完了したら、どのように土地を分筆するかの分筆案を作成します。
希望の分筆案で農地転用や建築基準法の基準を満たすかなどを確認しながら作成していきます。
場合によっては、事前に登記所へ相談し、分筆案で問題ないかを確認することもあります。
また、道路査定がされていない場所であれば、併せて道路査定をすることになりますので、事前に役所と協議し、道路の位置も確認しておく必要があります。
3.立会い
分筆するには、隣地の所有者の立ち会いのもと、境界線について同意を得る必要があります。
自分の土地を分筆するのにも関わらず、なぜ隣人の同意が必要なのでしょう?
過去の測量結果から隣地との境は決められている場合でも、現状は境界標の位置が動いてしまったり、ない場合が多々あります。そのような場合は境界標の位置を元に戻さなければなりません。
また、分筆位置には新しい境界標を設置しますので、それらについては関係する隣地の方に同意を得なければなりません。
さらに、直接関連しない部分の境界についても、確認いただくことにより将来の紛争防止につながりますので、分筆の際には立会いただき、確認いただくことになっています。
なお、未査定道路と接している場合は、役所の立ち会い及び対面地の方の立会い及び同意も必要となります。
4.境界標の設置
隣地所有者等の同意が得られたら、分筆の目印となる境界杭や境界標を設置します。
土地の状況により、コンクリート杭や金属プレート等を使い分けて境界を明示していきます。
また、他に亡失している境界標があれば併せて設置していきます。
さらに、道路との境に役所の境界標を埋設することもあります。
5.土地分筆登記
境界標の設置が完了したら、土地分筆登記を申請します。
申請先は土地を管轄する登記所です。
なお、申請時には以下の3つの書類が必要となりますが、状況によりさらに追加資料も必要となる場合もあります。
・登記申請書
・地積測量図
・筆界確認書
分筆登記申請について
分筆登記申請は、基本的に自分自身で申請することできないと思います。
その理由は「測量」です。
正確に面積を算出し、土地を分筆しなければなりませんので、測量は必須となります。
測量はお仕事でされる方もいらっしゃるかもしれませんが、高度な技術が必要なため一般の方にはすることができません。
また、隣接人との境界確認もありますので、その方法や調整も専門家でなければ難しいかと思います。
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